
中学受験専門 国語 プロ家庭教師 細川
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■『受験国語 選択肢の判別 111の視点(無料)』
■記事
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枕詞一覧表

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論理パズル

■「消えた1,000円のナゾ」・「天使と悪魔と人間」・「Aさんの帽子は何色か」・「偽金貨はどれだ?」など、11の問題と解説。
各種論理

■三段論法(演繹法)・帰納法・背理法・論理的飛躍・弁証法・類推・仮説形成・詭弁論理など、各種論理の解説。
※「かかる言葉」の中で赤字のものは必ず覚えておこう。
①あかねさす(茜さす)
■かかる言葉
①紫、日、昼
②君(天皇、主君、あなた、の意)
■語義・語源
①茜(あかね)色に照り輝く、の意から。
〈例〉
・あかねさす紫野行き標野(しめの)行き、野守(のもり)は見ずや、君が袖振る。
(美しい紫草の植えてあるこの御料地(ごりょうち)を、あなた(大海人皇子)は巡り歩いては、そんなに袖を振って私に向かって合図をなさる。困るではありませんか、野の番人に見られては) 額田王(万葉集)
※紫野(むらさきの)… ムラサキソウを栽培している野。
※標野(しめの)… 御料地。皇室、貴人が領有した野原。狩り場などにされ、一般人の立ち入りを禁じた。
※野守(のもり)… 御料地の番人。
②照り映えて美しい、の意から、ほめたたえる気持ちを込め、「君」にかかる。
②あきづしま(あきつしま・秋津島・蜻蛉島)
■かかる言葉
・大和
■語義・語源
・本来は大和(奈良県)の一地名、アキヅを指したらしいが、やがて大和の国全体、さらには日本の国を指すようになった。ちなみに秋津(蜻蛉)とは、トンボの古名。
〈例〉
・大和には群山(むらやま)あれど、とりよろふ天の香具山。登り立ち国見をすれば、国原(くにはら)は煙(けぶり)立ち立つ。海原(うなはら)は鴎(かまめ)立ち立つ。うまし国ぞ、蜻蛉島(あきづしま)大和の国は。
(多くの山々があるけれど、中でも美しく整った天(あめ)の香具山(かぐやま)よ。この山に登り立ち、国内を見渡すと、広々とした国土に炊煙(すいえん)があちらにもこちらにも立ち昇(のぼ)っている。埴安(はにやす)の池の広い水面には一面に水鳥たちがあちらに飛び立ち、こちらに飛び立ちしている。すばらしい国よ、この大和の国は。) 舒明天皇(万葉集)
※群山(むらやま)… 多くの山々。群がっている山々。
※とりよろふ(とりよろう)… 備わり整う。
※天の香具山(あまのかぐやま)… あめのかぐやま、ともいう。奈良県橿原(かしはら)市にある標高148mの山。耳成山(みみなしやま)、畝傍山(うねびやま)とともに大和三山として知られる。「伊予国風土記」によれば、もと天上にあった山が分かれ、天降(あまくだ)った片方が大和の天の香具山という。
※海原(うなはら)… 水面の広い所。当時香具山のふもとにあった埴安(はにやす)の池を指す。
※鴎(かまめ)… 水鳥。
※うまし国ぞ… よい国だなあ。
③あしひきの(あしびきの・足引きの)
■かかる言葉
・山、峰(お)
■語義・語源
・足を引きずりながら山を登る、また、山の裾(すそ)を長く引く、などの説があるが、未詳。
〈例〉
・あしひきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜を独りかも寝む
(山鳥の尾の長く垂れ下がっている尾のように、長い長いこの秋の夜を、わたくしの待つその人はついに来ず、今夜は独り寂しく寝ることだよ) 柿本人麻呂(拾遺和歌集)
④あづさゆみ(梓弓)
■かかる言葉
①張る、春、引く
②射(い)、射る
③音
④末(すえ)
■語義・語源
①弓の弦を張ったり引いたりすることから張る、引く、また、「張る」と同音の「春」にかかる。
〈例〉
・梓弓春の山辺を越え来れば道も去りあへず花ぞ散りける
(のどかな春の山路を越えてやって来ると、道をよけて通ることができないほどに、花が散っていることだ) 紀貫之(古今和歌集)
※梓(あずさ)… アズサの木。材質が堅く、弓の材料として用いた。
②弓を射ることから。
③弓を引くと音がすることから。
④弓の上端を末(すえ)と呼ぶことから。
⑤あまざかる(あまさかる・天離る)
■かかる言葉
・鄙(ひな=田舎)
■語義・語源
・都から田舎を望むと、天空のもとに遠く離れていることから。
〈例〉
・天ざかるひなの長路(ながじ)ゆ恋ひ来れば明石の門(と)より大和島見ゆ
(田舎からの長い道中の間、大和を恋つつやって来ると、明石海峡の船上より、いよいよ懐かしい大和の山々が見えてきたことだ) 柿本人麻呂(万葉集)
※明石(あかし)… 明石海峡。
※門(と)… 両方から陸地が突き出て門戸のような地形になっている所。
※大和島(やまとしま)… 大和の国は島ではないが、海上から見ると海の上に浮かんでいるように見えることから。
⑥あらたまの(新玉の)
■かかる言葉
・年、月、日、春
■語義・語源
・年や月、日があらたまる、の意からか。未詳。
※新玉… 掘り出されたままで、まだ磨かれていない玉。
〈例〉
・あらたまの年たちかへる朝(あした)より待たるるものは鶯(うぐいす)の声
(新年を迎えて、その朝から、今か今かと待たれるものは、鶯の鳴く声であることよ) 素性法師(拾遺和歌集)
※年たちかへる… 年が改まる。
※朝(あした)… 朝。朝方。明け方。
⑦あをによし(青丹よし)
■かかる言葉
・奈良
■語義・語源
・顔料とする青土が奈良山の周辺で産出したことからか。
〈例〉
・あをによし奈良の京師(みやこ)は咲く花の薫(にお)ふがごとく今盛りなり。
(奈良の都平城京は咲く花が色美しく照り映(は)えるように今やまことに繁栄の極(きわ)みであることよ) 小野老(万葉集)
※薫(にお)ふ… 美しく照り映える。美しく輝く。
⑧いそのかみ(石上・いすのかみ)
■かかる言葉
・古(ふ)る、降る、振(ふ)る
■語義・語源
奈良県天理市の石上神宮周辺にある布留(ふる)という地名と同音の語、「古る(=古くなる)」、「振る(=震わす)」、(雨や雪などが)「降る」にかかる。
〈例〉
・いそのかみふりにし人を尋(たず)ぬれば荒れたる宿に菫(すみれ)つみけり
(昔親しくしていた人を尋ねると、その人の姿は見えず、荒れ果てた家の辺りで、見知らぬ女が菫を摘んでいたことだ) 能因法師(新古今和歌集)
※ふり… 「古くなる、昔のものとなる」という意の古る(ふる)の連用形。「古りにし」で「昔のものとなってしまった」。
⑨いはばしる(石走る)
■かかる言葉
①垂水(たるみ=滝)、滝
②近江(おうみ)
■語義・語源
①石の上を激しく流れる、の意から。
〈例〉
・石(いわ)ばしる垂水(たるみ)の上のさ蕨(わらび)の萌(も)え出(い)づる春になりにけるかも。
(雪解けのためにかさを増し、激しい勢いで石の上を流れる水。滝のほとりのわらびが芽を出した。待ち焦がれて、いよいよ春になったことだ。) 志貴皇子(万葉集)
※なりにけるかも… なったのだなあ、なったことだよ、と詠嘆を表す。
②溢水(おうみ)=激しく流れて水が溢(あふ)れる、の意から、同音の「近江」にかかる。
⑩うつせみの (現身の)
■かかる言葉
・世、代、人、命
■語義・語源
・現身(うつせみ)とは、「この世の人」の意。
〈例〉
・うつせみのわが世のかぎり見すべきは嵐の山の桜なりけり
(自分のこの命のあらん限り、見るべきものとは、嵐山のこの美しい桜の花であることだ。) 八田知紀(しのぶぐさ)
※嵐の山… 京都市にある標高376mの山。紅葉、桜の名所。
⑪かむかぜの(神風の)
■かかる言葉
・伊勢(いせ)
■語義・語源
・神風(かむかぜ)とは、神の威力によって起こるという激しい風。 神風の息吹(いぶき)の「い」と同音である「伊勢」にかかる。また、イセツヒコが風を起こした伝説があることからとも言われる。
〈例〉
・神風の伊勢の国にもあらましをなにしか来にけむ君もあらなくに
(伊勢の国にいればよかっただろうに、どうして私は大和へ来てしまったのだろう。ここ大和には既に弟の君も亡くなって、この世にはおいでにならないものを。) 大来皇女(万葉集)
※あらましを… いたほうがよかったのに。
※君もあらなくに… あなたはもうおこの世にはいらっしゃらないのに。
※君… 謀反(むほん)の罪により処刑された弟、大津皇子(おおつのみこ)を指す。
⑫からころも、からころむ(唐衣、韓衣)
■かかる言葉
・裾(すそ)、着る、袖、裁(た)つ
■語義・語源
・唐衣(韓衣:からころも)とは中国風の衣服のことで、そこから衣服に関する語にかかる。
〈例〉
・韓衣裾に取りつき泣く子らを置きてぞ来ぬや母なしにして
(私の着物の裾に取りすがり、別れを惜しんで泣き悲しむ子どもたちを、家に残して来てしまったことだ、母親がいないというのに。) 他田舎人大島(万葉集)
⑬くさまくら(草枕)
■かかる言葉
・旅、結ぶ、結ふ(ゆう)
■語義・語源
・旅先で草を結んで(束ねて)枕とし、野宿をしたことから。
〈例〉
・家にあれば笥(け)に盛る飯(いい)を、草枕旅にしあれば、椎(しい)の葉に盛る。
(家にいるときは食器に盛る飯を、今は旅の最中にあるので、椎の葉に盛って食べることだよ。) 有間皇子(万葉集)
※笥(け)… 器。ここでは食器。
※有間皇子(ありまのみこ)が謀反の疑いで紀伊(きい:和歌山)の行宮(あんぐう)に召されてゆく途中、磐代(いわしろ:和歌山)の岡で自ら悲しんで詠んだ歌。
⑭さざなみや(細波や、小波や、細波の、小波の、等)
■かかる言葉
①大津、志賀、古き都
②波、寄る、夜
■語義・語源
①琵琶湖の南西岸あたりの旧地名などにかかる。
〈例〉
・さざなみや志賀の都はあれにしを昔ながらの山ざくらかな
(志賀の都は今はもう見る影もなく荒れ果ててしまったが、、長良山の桜は昔と変わらず美しく咲き匂っていることだ) 読み人知らず(千載和歌集)
※『平家物語』では平忠度作としている。
※志賀… 天智天皇が営んだ近江大津京。また、万葉集には「滋賀」の表記は無い。
②「波」や、波が寄ることから「寄る、寄す」、同音の「夜」などにかかる。
⑮しきしまの(磯城島の、敷島の)
■かかる言葉
・大和、日本(やまと)
■語義・語源
・奈良県の磯城島(しきしま)の地に都があったことから。
〈例〉
・敷島の日本(やまと)の国は言霊(ことだま)のさきはふ国ぞま福(さき)くありこそ
(この日本の国は、言葉に宿る神霊がその霊力を発揮する国であるぞ。自分が今、あなたのために、幸せを祈って言挙(ことあ)げをし、その言葉通りに無事に幸福でいてください。)※言霊(ことだま)… 言葉の持つ神秘的な霊力。言葉に宿る神霊。古代、言葉には霊力があり、その用い方により人間の幸不幸が左右されると信じられた。
※言挙(ことあ)げ… 言葉に出して言い立てること。
⑯しらぬひ 、しらぬひの
■かかる言葉
・筑紫(つくし)
■語義・語源
・都から「知らぬ日(多くの日数)」をかけて行く地、の意があるが、未詳。
※しらぬひ(しらぬい)… 四音の枕詞。
※「不知火」は当て字。
〈例〉
・しらぬひ筑紫(つくし)の国は敵(あた)まもるおさへの城(き)そと
(筑紫の国は、敵を監視する鎮護の砦であると)) (万葉集)
※筑紫(つくし)… 筑前(ちくぜん)と筑後(ちくご):(ともに福岡県)。転じて、九州地方を指す。
⑰しろたへの(白妙の)
■かかる言葉
①衣、袖、紐(ひも)、袂(たもと)
②雪、雲、波、富士、羽
■語義・語源
①白妙(しろたえ)が白い布の意であることから、衣服に関する語にかかる。
〈例〉
・春過ぎて夏きたるらし。白たへの衣乾(ほ)したり、天(あめ)の香具山(かぐやま)。
(春は過ぎ、いよいよ夏が来たらしい。真っ白な衣が干してあるのが見えている。ああ、青葉の茂ったあの天の香具山(かぐやま)のふもとに)。 持統天皇(万葉集)
※天の香具山(あめのかぐやま)… あまのかぐやま、ともいう。奈良県橿原(かしはら)市にある標高148mの山。耳成山(みみなしやま)、畝傍山(うねびやま)とともに大和三山として知られる。「伊予国風土記」によれば、もと天上にあった山が分かれ、天降(あまくだ)った片方が大和の天の香具山という。
②白妙が白い布の意であることから、白いものにかかる。
⑱そらみつ(そらにみつ)
■かかる言葉
・大和
■語義・語源
・ニギハヤヒノミコトが空飛ぶ船に乗って大和の国を見下ろしたことからとする説があるが、未詳。
※四音の枕詞。
〈例〉
・籠(こ)もよ、み籠(こ)持ち、ふくしもよ、みぶくし持ち、この岡に菜(な)摘(つ)ます子。家聞かな。告(の)らさね。そらみつ大和の国はおしなべてわれこそ居(お)れ。しきなべてわれこそ座(ま)せ。われにこそは告(の)らめ、家をも名をも。
(よいかごを手に持ち、よいへらも手に持って、この岡で菜を摘んでおられる娘さん。あなたのお家が聞きたい。あなたの名をおっしゃいな。この大和の国は、すべてこの私が従え治めているのです。全てこの私が領し従えているのです。その私にこそは教えてくれるでしょう、あなたの家も名をも。)
※籠(こ)… 竹で編んだかご。
※籠もよ… かごも、まあ。
※み籠持ち… 良いお籠を持って。
※ふくし… へら。
※ふくしもよ… ふくしも、まあ。
※みぶくし持ち… 良いへらを持って
※家聞かな… 家が聞きたい。
※告(の)らさね… おっしゃいな。
※おしなべて… 一面に従えて。
※われこそ居れ… われこそおしなべて居れ、つまり、私が一面に従え治めているのだ、の意。
※しきなべて… 一面に領し従えて。
※われこそ座(ま)せ… われこそしきなべて座せ、つまり、私が一面に領し従えているのだ、の意。
※われにこそは告(の)らめ… この私にこそは教えてくれるでしょうね。
⑲たかてらす(高照らす)
■かかる言葉
・日
■語義・語源
・高く照りたまう、の意から。
〈例〉
・やすみしし我が大君は高照らす日の皇子(みこ)神(かむ)ながら神さびせすと…
(あまねく天下をお治めになる我が大君、天上高く光りお輝きになる日の神の皇子は、神であるままに神らしくお振る舞いになって…) 柿本人麻呂(万葉集)
※やすみしし… 八方すべて治める、の意。
※神(かむ)さび… 神らしい振る舞い。神々(こうごう)しく振る舞うこと。
⑳たまのをの(玉の緒の)
■かかる言葉
①長し、短し
②乱る、絶え、継ぎ
■語義・語源
・玉の緒は「玉を貫いた緒(=ひも)」のことで、その長短から。
〈例〉
・相思(あいおも)はぬ妹(いも)をや、もとな、菅(すが)の根の玉の緒の長き春日(はるひ)を思ひ暮らさむ
(こちらを思ってくれないあなたを無性に思い焦がれて、長い春の日を物思いをしながら暮らすのだろうか。)(万葉集)
※相思(あいおも)ふ… 互いに思う。「相思はぬ」で、「互いに思うことのない」。
※妹(いも)… 男性から、妻・恋人・姉妹などを親しんで呼ぶ語。
※もとな… 無性に。わけもなく。やたらに。
※菅(すが)… カヤツリグサ科の多年草。スゲ。葉を刈って笠(かさ)、蓑(みの)、縄(なわ)などを作る。
※菅の根の… スゲの根は長く乱れていることから、「長き」、「乱る」、「絶ゆ」などにかかる枕詞。
・玉の緒が乱れたり、切れたり、また、それをつないだりすることから。
(21)たらちねの(垂乳根の、足乳根の)
■かかる言葉
・母、親
■語義・語源
・乳房が垂れた、母乳が満ち足りた、などの解釈があるが未詳。
〈例〉
・たらちねの 母がつりたる 青蚊帳(あおがや)を すがしといねつ たるみたれども
(久しぶりに故郷へ帰ったその夜、母が私のためにと青蚊帳(あおがや)を釣って寝床を用意してくれた。母の心づかいがうれしくて、すがすがしい気分で寝られたことだ。年老いた母の釣ってくれたその蚊帳は、少したるんでいたけれども。) 長塚節
(22)ちはやぶる(千早振る)
■かかる言葉
①神、わが大君、社(やしろ)
②宇治、氏
■語義・語源
①神が威力を発し、すさまじく荒々しい、の意から「神」や神に関する語にかかる。
〈例〉
・ちはやぶる神代(かみよ)も聞かず竜田川(たつたがわ)からくれなゐ(い)に水くくるとは
(不思議なことが起こっていた神代(かみよ)の話にさえ、水を深紅(しんく)に絞り染めにするなどということを聞いたことがない。紅葉が美しく散り浮かんだ竜田川(たつたがわ)の美しさは、深紅の絞り染めそのものである。) 在原業平(古今和歌集)
※竜田川(たつたがわ)… 奈良県生駒郡の川。古来、紅葉の名所として知られ、多くの歌にも詠まれている。
②「勢い」という意味の「うぢ」と同音の地名である宇治にかかる。
(23)ぬばたまの
■かかる言葉
・夜、黒、夕、月、夢
■語義・語源
・「ぬばたま」とは「ヒオウギ」という草のことで、その実が黒いことから、黒や夜に関する語にかかる。
〈例〉
・ぬばたまの夜の更(ふ)けゆけば久木(ひさき)生(お)ふる清き川原(かわら)に千鳥(ちどり)しば鳴く
(夜が更けていったので、久木の伸びた清い吉野川の川原に、千鳥がしきりに鳴いていることだ。) 山部赤人(万葉集)
※久木(ひさき)… 樹種は不明。
※千鳥(ちどり)… 千鳥科の小鳥の総称。
※しば鳴く… しきりに鳴く。
(24)ははそはの(ははそばの、柞葉の)
■かかる言葉
・母
■語義・語源
・柞(ははそ)とはナラやクヌギなどの植物のこと。最初の二音が同音であるため、「母」にかかる。
〈例〉
・ははそはの母を思へば児島(こじま)の海逢崎(おうさき)の磯波(いそなみ)たち騒ぐ
(年老いた母のことを思っていると、児島の海の逢崎の磯では波がたち騒いで、夜のはかなさを感じさせることだ。) 平賀元義(平賀元義集)
※児島(こじま)… 岡山県児島湾。
※逢崎(おうさき)… 現岡山県玉野市八浜町大崎。
(25)ひさかたの(久方の)
■かかる言葉
・光、天(あめ・あま)、雨、月、雲、都
■語義・語源
・「日射す方」の意か。天空に関する語にかかる。
〈例〉
・ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ
(日の光がやわらかく照るうららかな春の日であるというのに、どうして桜の花は、そんなにも落ち着かずに散り急いでいくのだろう。) 紀友則(古今和歌集)
※しづ心(ごころ)なく… 落ち着いた気持ちもなく。
(26)ほのぼのと
■かかる言葉
・明かし、明石
■語義・語源
・ほのぼのと明るくなるという意から、「明かし」、また、同音の「明石」にかかる。
〈例〉
・ほのぼのと明石(あかし)の浦の朝霧(あさぎり)に島隠(しまがく)れゆく舟をしぞ思ふ
(ほんのりと明けてゆく明石の海辺の朝霧(あさぎり)の中にこぎ出して、ゆっくりと島に隠れてゆく舟を目で追いながら、それをしみじみとあわれ深く思ったことだ。) 読み人知らず(古今和歌集)
※明石の海… 兵庫県明石市の海岸。
※島隠(しまがく)れゆく… 島に隠れて見えなくなってゆく。
(27)もののふの (武士の、物部の)
■かかる言葉
①八十(やそ)、氏、宇治
②矢、弓削(ゆげ=弓作り、弓職人)
■語義・語源
①武人や官人を意味する武士(もののふ)は人数や氏が多いことから。
〈例〉
・もののふの八十(やそ)をとめ等(ら)がくみまがふてらいの上の堅香子(かたかご)の花
(おおぜいの少女たちが入り乱れて水を汲(く)んでいる寺の井のほとりに咲く堅香子(かたかご)の花の可憐(かれん)さよ。) 大伴家持(万葉集)
※八十(やそ)… 数の多いこと。沢山。
※堅香子(かたかご)… かたくり。
(28)ももしきの(百敷の、百磯城の)
■かかる言葉
・大宮(おおみや)
■語義・語源
・多くの石を畳み築いた建物、の意から「大宮」にかかる。
〈例〉
・ももしきの大宮人(おおみやびと)はいとまあれや桜かざして京も暮(くら)しつ
(宮中にお仕えする人々は暇が(ひま)があるからかしら、桜の花を飾りとして頭にさして今日も一日遊んで暮らされたことよ。) 山部赤人(新古今和歌集)
※大宮(おおみや)… 皇居、神宮の尊敬語。
(29)やくもたつ(八雲立つ、八雲刺す)
■かかる言葉
・出雲(いずも)
■語義・語源
・多くの雲の立ち上る出雲の国、の意から。
〈例〉
・八雲立つ出雲八重垣(やえがき)妻籠(つまご)みに八重垣作るその八重垣を
(幾重にも重なって雲の立ちのぼる出雲の国の、幾重にも囲いをめぐらした、立派な宮殿よ。私の新妻を住まわせるために、幾重にも囲いをめぐらし、立派な宮殿を造る。ああ、その立派な宮殿よ。) 須佐之男命(すさのおのみこと)(古事記・日本書紀)
※日本最初の和歌とされるが、実際には須佐之男命が作歌したわけではない。
※八重垣(やえがき)… 幾重にも作り設けた垣根。
(30)やすみしし(安見しし、八隅知し)
■かかる言葉
・わが大君(おおきみ)、わが大王(おおきみ)
■語義・語源
・安らかに天下をお治めになる、の意から。
〈例〉
・やすみししわが大王(おおきみ)の食(お)す国は大和も此処(ここ)も同じとぞ念(おも)ふ
(私のお仕え申し上げている天皇陛下がご統治あそばす国は、大和もこの太宰府(だざいふ)も同じであることだ) 大伴旅人(万葉集)
補足:五音以外の枕詞
①千葉の(ちばの)※三音
■かかる言葉
・葛野(かどの)
■語義・語源
・多くの葉が茂る、の意か。葛(かずら=つる草)には葉が多いことから、「葛野(かどの=京都の地名)」にかかる。
〈例〉
・千葉の葛野を見れば百千(ももち)だる家庭(やにわ)も見ゆ国の秀(ほ)も見ゆ
(葛野を見渡すと、人里にたくさんの家々が見える。国が優れていることもまた見える。) 応神天皇(古事記)
②春日の(はるひの、はるびの)※四音
■かかる言葉
・霞(かすみ)
■語義・語源
・春の日には霞(かす)むことから、同音を含む地名「かすが」にかかる。この枕詞によって地名「かすが」に「春日」を当てるようになった。
③味酒(うまさけ)※四音
■かかる言葉
・①鈴鹿(すずか)、餌香(えか)
■語義・語源
・うまい酒、おいしい酒の意。
①美酒の産地「鈴鹿(すずか=三重県)」「餌香(えか=大阪府)」にかかる。
②神酒(みき=神に供える酒)を古くは「ミワ」と言ったことから、同音の地名、「三輪(みわ)」にかかる。
④桜麻の(さくらあさの)※六音
※五音で「さくらをの」とも読む
■かかる言葉
・苧生(おう)
■語義・語源
・桜麻(さくらあさ)は雄麻(おあさ=麻の雄株)の異名。苧生(おう=麻畑)にかかる。
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