
中学受験専門 国語 プロ家庭教師 細川
■難関中学 受験対策
■国語読解・記述指導
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■『受験国語 選択肢の判別 111の視点(無料)』
■記事
・正味64ページ(両面17枚)
・本編約103,000字
■PDFデータ量
・7.51MB
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・B4用紙
・印刷の向き(横)
・両面印刷
・短辺とじ
・枚数:全17枚(表紙1枚含む)
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■製本
・両面印刷後、用紙をしっかりと二つ折りにし、ページ順に揃えて重ね、『回転式ホチキス』で「中(なか)とじ」します。
・ホチキスは、背(外側)からノド(内側)に向けて打ちます。また、天地からそれぞれ6~7cmの位置に一か所ずつ打つと冊子が安定します。
■本資料は一見難しい内容に思えるかもしれませんが、大人の助力により(事前に読み込みが必要)、手順を踏んで説明すれば、小学5、6年生にもしっかりと理解させることが可能です。
・内容的に中学生や高校生の学習にも利用できます。
各種論理
論理パズル

■「消えた1,000円のナゾ」・「天使と悪魔と人間」・「Aさんの帽子は何色か」・「偽金貨はどれだ?」など、11の問題と解説。
■『選択肢の判別 111の視点(PDF/無料)』:本ページにて記載した『論理パズル』、『数理パズル』、および『各種論理』についても掲載していますのでご利用ください。
目 次
■各種論理
①三段論法(演繹法)
②暗黙の前提
③前提のすり替え
・カゼオケ論法 ・条件トラップ
④因果関係
・因果の逆転・循環論法
⑤矛盾
・自己矛盾
⑥背理法
⑦論理的飛躍
⑧帰納法
⑨類推(類比/アナロジー)
・類比論法
⑩仮説形成(アブダクション/リトロダクション)
⑪弁証法
⑫ のび太論法・ジャイアン論法
⑬その他(詭弁など)
(1)論点のすり替え
(2)だって論法
(3)チェリーピッキング
(4)藁人形論法
(5)同語反復(トートロジー)
(6)循環論法
(7) レッテル貼り
(8)事実の主張へのすり替え
(9)前後即因果
(10)曖昧語法(二重語法)
(11)道徳主義トラップ
(12)自然主義トラップ
(13)新規主義トラップ
(14)伝統主義トラップ
(15)逆は必ずしも真ならず
(16)裏返しは必ずしも真ならず
(17)疑似相関
(18)悪魔の証明
(19)ダブルスタンダード(二重基準)
(20)比較不成立
① 三段論法(演繹法)
■三段論法とは、「二つの前提」から「一つの結論」を導き出す推論形式で、論理展開の基本とされます。「前提」とは、「結論」を導くための「根拠となる条件」のことです。「前提」は、「論理の土台」であり、正しい論理や因果関係を組み立てるうえでの重要な要素となります。
①【大前提】で「一般法則(全体のことがら)」を述べます。
例:クモは8本脚だ。
②【小前提】で「個別事例(一部のことがら)」を述べます。
例:コガネグモはクモだ。
③【結論】二つの前提を「根拠」として、「結論」を導きます。
例:だから、コガネグモは8本脚だ。
※前提に既に結論が含まれているために完全に納得される。
② 暗黙の前提
■暗黙(あんもく)の前提
・特に言明せずともわかりきった前提を「暗黙の前提(暗黙の了解(りょうかい))」という。
・太郎君:クモは8本脚なんだよ。【大前提】
・次郎君:だから、コガネグモも8本脚なんだね。【結論】
・日常の会話等ではこのように表現しても意思疎通(そつう)に支障はない。それは、「コガネグモはクモの一種だ」というもう一つの「前提」が当事者間で暗に「共有」されているためだ。
・両者で暗黙の前提となっている事柄(ことがら)の全てをいちいち確認し合っていては話が進まない。逆に、自分と相手との間で前提が一致していると思い込んでいると、「前提の不一致」により齟齬(そご)が生じたり、水掛け論に陥(おちい)ったりして人間関係にまでひびが入ってしまうこともあるので注意しよう。
※齟齬(そご):意見などが食い違うこと。
※水掛け論:両者が自説にこだわって争い、いつまでも結論の出ない議論。
③ 前提のすり替え
■前提のすり替え
・ある主張(結論)が成り立つための大もととなる「本来の前提」を、「それとは合致(がっち)しない別の前提」にすり替えたうえで論理展開すること。
・花子さん:夏休みの宿題、もう全部終わったもんね! (正しい前提:自力で宿題を処理)
・愛子さん:先生にバレなきゃいいね! (別の前提:花子がズルい手を使って宿題を処理)
・花子さん:もうっ! 違うってば! 意地悪!
・「花子さんは実際に自分一人の力で全ての宿題を早く片付ることができた(正しい前提)」のですが、愛子さんはその「事実=前提」を承知しながら、「花子さんが何かズルい手を使って宿題を早く片付けることができた」という「別の前提」に「わざと変更=すり替え」を行って意地悪く応答しました。
※ばれる:2025年現在、岩波、旺文社、学研、角川、三省堂、集英社、小学館等の国語辞典では「俗(ぞく)語」と明記。
■カゼオケ論法(ドミノ論法/連鎖飛躍)
■風が吹けば桶屋(おけや)が儲(もう)かる
・【強い風が吹くと、土ぼこりが立つ】→【土ぼこりが目に入って目を傷(いた)め、盲人(もうじん)が増える】→【盲人は三味線の演奏を生業(なりわい・せいぎょう)とするので、三味線のに張るための猫の皮が沢山必要になる】→【猫が減る】→【猫を天敵とする鼠(ねずみ)が増える】→【鼠は桶をかじるので、桶の需要が増える】→【桶屋が儲かって喜ぶ】
・「風が吹けば桶屋(おけや)が儲(もう)かる」は、「ある事柄(ことがら)が原因となって、まったく無関係と思われるところに影響が出ること」、また、「当てにならない期待をすること」という意味のことわざである。「Aを前提とするのでB、Bを前提とするのでC、Cを前提とするのでD……」のように「複数の因果関係をつなぎ合わせて都合よく論理を飛躍させる。
※『論理的飛躍』、『前提のすり替え』、『条件トラップ』の一種。
■条件トラップ
・【[A]勉強が終わると(条件)+[B]読書をし始めた】のように、【Aを条件(前提)として+B(となる/である)】の形式で説明されるが、そもそも[A]という条件(前提)が虚偽(きょぎ)、もしくは不正確である。誘導に都合の良い《虚偽の条件[A]》を「前提」として、しれっと[B]が続くため、よく注意して文脈把握(はあく)しないと《条件[A]》の虚偽に気づくことが難しい。
※『前提のすり替え』の一種。
・読み手は、文中に提示される事柄(ことがら)の一つひとつを【条件=前提】として押さえながら、階段を上るようにして文脈を辿(たど)ろうとするが、先を読み進めることに意識を取られていると【条件=前提】に虚偽が仕込まれていてもそれに気づくことが難しく、相手の意図に沿った思考や判断へといっそう誘導されやすくなるので注意が必要。
④ 因果関係
■因果関係
・ある事柄(ことがら)が「原因(前提)」となり、その「結果」として別の事柄が引き起こされる関係を「因果関係」という。
・「勉強しないでこっそり’YOU TUBE(ユーチユーブ)’を見ていたので(原因/前提)、怒られた!(結果)」
・ものごとについて考える際には、「原因」と「結果」との間の「関連性や連続性」をしっかりと掴(つか)み、「論理的矛盾(むじゅん)」や「論理的飛躍」が起きないよう注意し、また、何か問題が起きた際には、「結果」から遡(さかのぼ)って「原因(前提)」を探り、確かめ、検討し、対処するようにしよう。
■因果の逆転
・『因果の逆転』とは、例えば、「受験生が多いから、塾が多い(Aだから、Bである)」という本来の因果関係が、「塾が多いから、受験生が多い(Bだから、Aである)」のように逆転してしまうこと。他の例では、「バスケットボールの選手は皆身長が高い(原因・理由)。だから、バスケットボールをすれば、身長が高くなる(結論)」
■循環論法
・「彼は勤勉(きんべん)だ(結論)。なぜなら、彼は真面目(まじめ)だからだ(根拠)」は、「彼は真面目だ(結論)。なぜなら、彼は勤勉だからだ(根拠)」と同じ意味であり、このように、「結論と根拠とが単純に循環し、証明とならない」論法を「循環論法」という。「消しゴム貸して。だって、消しゴム貸してほしいから」のように、日常においてもうっかりと循環論法によって言い訳をしたり反論したりすることがあるので注意しよう。他の例では、「今のままではいけない! だからこそ、日本は今のままではいけない!」など。
⑤ 矛盾
■矛盾とは、二つの主張のつじつまが合わないこと。論理的な食い違(ちが)いがあり、筋(すじ)が通らないこと。撞着(どうちゃく)ともいう。
・昔、中国の楚(そ)の国で、矛(ほこ)と盾(たて)を売っていた商人が、「この矛は、どんなにかたい盾をも突(つ)き通すことができる。また、この盾は、どんなに鋭利(えいり)な矛であっても突き通すことができない」と言って誇(ほこ)った。すると、見物人が、「では、その矛でその盾を突いたらどうなるか」と問(と)うたところ、商人は返答に窮(きゅう)してしまった。
・「この矛はどんなにかたい盾をも突き通すことができる」という主張[A]と、「この盾はどんなに鋭利な矛であっても突き通すことができない」という主張[B]は、論理的に整合しない。つまり、[A]の主張を「正しい」と認めた場合は[B]の主張が「誤(あやま)り」となり、逆に[B]の主張を「正しい」と認めた場合は[A]の主張が「誤り」となって、二つの主張を両立させることが不可能なのだ。
■自己矛盾
・自分自身の考えや言動の中に食い違いが生じ、矛盾(むじゅん)すること。自己の言動に自己を否定する要素を含んでいること。自家撞着(じかどうちゃく)ともいう。
・花子さん:この世界に『絶対』と言えるものなど、『何一つ無い』のだわ!
・愛子さん:『絶対が存在しない』ことが『絶対だ』なんて、あんた、言ってること、絶対おかしいわよ!
・花子さんは、「この世界に絶対といえるものは何一つ存在しない」と主張しつつ、自分のその発言が「絶対のものだ」と断言しているので、その主張は矛盾しています。「あの子、いつも他人の批判ばかりするからダメなのよ(自分自身が『あの子』の批判をしている)」という主張も「自己矛盾の例」として覚えておくとよいでしょう。
⑥ 背理法
■「背理(はいり)法」とは、「①:ある主張」について、「②:『もし』を付けて反対表現にし(主張を否定した仮定をし)」、それにより生じる「③:矛盾」を示すことで「仮定の誤り」を導き、結果的に「④:当初の主張が正しい」ことを証明する方法です。ただし、主張(結論)が本当に正しいかどうかは検証によって確かめられる必要があります。
①「お母さん、僕、勉強サボってないよ」 【主張】
②「「もし勉強をサボっていたのなら……」【主張を否定した仮定】
③「一時間にこれだけの宿題が終わるはずがないよ」【矛盾の指摘】
④「だから、僕は勉強をサボってない!」【結論=主張】
・別の例文
①【主張】「私は犯人ではない」
②【主張を否定した仮定】「もし私が犯人なら」
③【矛盾の指摘】「犯行時刻に、犯行現場であるA町にいたはずだ。でも、その時私はB町にいたし、証人もいる」
④【結論=主張】「だから、私は犯人ではない」
⑦ 論理的飛躍
■問題
・正しい筋道を追わずに論理が飛び越して進むことを「論理の飛躍(ひやく)」という。「前提」と「結論」との間に隔(へだ)たりがあり、因果関係が不明確な場合が多い。
【前提①】花子はおしゃれだ。
【前提②】花子は女の子だ。
【結論】 だから、女の子はおしゃれだ。
・花子以外の女の子の性質を前提に置かずに、「女の子というものは、一般に皆おしゃれなものだ」と「飛躍した結論」を導いています。
・一例に過ぎないものを無理に「一般化」したり、「結論」を支える「前提」が不確かであったりと、「論理的飛躍」は日常的にも起こりやすい。対人関係においても、これによって齟齬(そご)が生じてしまわぬよう注意しよう。また、「前提」と「結論」との間の「関連性・連続性・因果関係」を的確に捉(とら)え、また、「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」といった「可能性の視点」も持って、客観的、総合的に判断しよう。
※齟齬(そご):意見などの食い違いや摩擦(まさつ)。
⑧ 帰納法
■帰納法
・「個別事例(複数の具体例)」をもとに「一般法則」を導(みちび)き出す推論形式を「帰納法」といいます。
〈例〉
・前提①:【個別事例】
A:あの湖にいる白鳥は、白い。(具体例)
B:その川にいる白鳥も、白い。(具体例)
C:この池にいる白鳥も、白い。(具体例)
・前提②:どれも白鳥だから、白いのだ。【共通点/因果関係】
・結論:だから、(おそらく)全ての白鳥は、白いだろう。【一般法則】
※帰納法では列挙される具体例以外に例外の出現がありうるため、③の「結論」に「おそらく」を付けてあります。もし例外が出現した場合には、帰納法による「結論」は「一般法則」とは言えず、むしろ「論理的飛躍」、もしくは「論理的な誤り」となってしまうからです。実際、ヨーロッパでは「スワン(swan=白鳥)」は白いものだという常識があったのですが、1697年、オーストラリアで「黒いスワン(固有種の黒鳥(コクチョウ)」が発見され、この「帰納推論による仮説」は明確な誤りであったことが判明しました。
※「一般法則」をもとにして「個別的結論」を導く推論形式は「演繹(えんえき)法」ですから、「三段論法」は演繹法の一種です。『一般法則が出発点』になるのが「演繹法」で、『一般法則がゴール』になるのが「帰納法」ということです。
⑨ 類推(類比推論/アナロジー)
■類推(類比推論/アナロジー)
・「類推(るいすい)/類比推論(るいひすいろん)」とは、ある事柄(ことがら)について、「Aは、Bと似ている」と「類似(るいじ)性」を認め、次に「Bが▲(という性質)なら」、「(恐らく)Aも▲(という性質)だろう」と推理する方法です。
【類推の形式】
①Aは、Bと似ている。【類似性の確認】
・花子さん:トラは、ネコに似ているところがあるね。
②Bは、▲だ。(Bは、▲という性質を持つ。)【具体例の提示】
・愛子さん:ネコは、木に登れるわ。
③だから、(恐らく)Aも▲だろう。(Aも▲の性質を持つだろう。)【類推結論】
・花子さん:それなら、きっとトラだって木に登れるはずよ!
・「類推」は、「類比」、「アナロジー」とも呼ばれ、「既知(きち)の知識」をもとにして「未知の知識」を新たに得るための強力な思考法の一つです。日常においても私たちは、ものごとについて推測したり、仮説を立てたりする際に、意識的、無意識的にこの「類推(類比推論)」という思考法を活用しています。
■類比論法
・類似性のある例を挙げて、自分の主張に説得力を持たせる論法です。
・お母さん:[A]勉強はね、[B]スポーツと同じなの!【類似性の確認】
・翔平(しょうへい)君:[B]スポーツは、[▲]目標に向けて毎日練習することが大事だね。【具体例の提示】
・お母さん:だから、[A]勉強も、[▲]合格を目標に毎日努力することが大事よ! 【類比結論】
⑩ 仮説形成(アブダクション/リトロダクション)
■ある「観察事実」をもとに、その原因を探るため、「一般的法則や知識・情報等」を照らし合わせ、それを「前提」として「合理的な説明を想定」する推論法を「仮説形成」(アブダクション/リトロダクション)といいます。
■仮説形成の例①
・前提①:地面のあちこちに水たまりがある。【観察事実】
・前提②:雨が降ると、水たまりができる。【一般法則】
・結論:だから、(恐らく)雨が降ったのだろう。【仮説】
・「仮説形成」は、「既知(きち)の知識」をもとにして「未知の知識」を新たに得るための強力な思考法の一つです。ただし、想定した仮説が必ずしも正しいとは限らないため、「仮説の正しさ」を証明するために「検証」を行う必要があります。
■仮説形成の例②
・前提①:太郎を見つめる花子の目がハートになっている。【観察事実】
・前提②:人が異性を好きになると、目がハートになる。【一般法則】
・結論:だから、花子は太郎に恋しているぞっ! 【仮説】
※身近なものごとに目を向けて、このような例文を自分でも考えてみましょう。
■誤った仮説形成の例
①「太郎君が珍(めずら)しく学校を休んだ。」【観察事実】
②「宇宙人にさらわれると、学校に来ることができない。」【一般法則】
③「だから、太郎君は宇宙人にさらわれたに違いない!」【仮説】
※証明困難な「前提(②)」を都合よく持ち出して推論したために、「論理的に飛躍した(誤(あやま)った)仮説」が導出されました。このような例文を自分でも考えてみましょう。
・物理学者のニュートンは、「リンゴが木から落ちる」という「観察事実」をもとに、一般法則に照らすのみならず、その「創造的な想像力」によって思索(しさく)をめぐらし、ついに「引力」という未知の作用を「創案=仮説形成」しました。創案(そうあん)とは、今まで誰も考えつかなかったことを最初に考え出すことです。また、理論物理学者のアインシュタインも、「科学的仮説や理論というものは、観察された事実を説明するために『発明されるもの』である」と述べ、一般法則に縛(しば)られず、「創造的な想像力」を発揮して合理的な「仮説」を創案することの重要性を指摘しています。仮説形成は、科学においてだけでなく、日常生活においてもまた、さまざまな物事に対処したり、新しい考えを創案したりするうえで重要な役割を果たす強力な思考法の一つなのです。
※思索(しさく):物事の道理をたどり、秩序立てて深く考えを進めること。
⑪ 弁証法
■弁証法
・「弁証(べんしょう)法」とは、①【正(せい)=命題(めいだい)(出発点となる問題)】がまずあり、その内部から②【反=矛盾(むじゅん)(対立・葛藤(かっとう)】が現出(げんしゅつ)すると、その【矛盾】を捨てず、受け入れたうえで(保持したまま)、③【合=統合(高い次元での克服(こくふく)・解決)】へと至(いた)らしめる思考形式です。そして、【反】を受けて【合】へと進化(深化)・発展させる、この最終段階を【止揚(しよう)=アウフヘーベン/ドイツ語】といいます。
・【矛盾】は完全に否定し捨(す)て去るのではなく、むしろそれを認め、受け入れて発展のための糧(かて)としてこそ【統合(高次(こうじ)の克服・解決)】の実現を可能としますから、弁証法は、一般に同種のものと解釈されている、「対立的な別種のものを上手く組み合わせて新たなものを生み出す考え方(トンカツとカレーを組み合わせてアウフヘーベンすればカツカレー、といった類(たぐい)の考え方)」のことではありません。また、「良い所だけを取り上げて上手くまとめる『折衷案(せっちゅうあん)(良いとこ取り)』」とも、「双方(そうほう)が譲(ゆず)り合って一致点を見出す『妥協案(だきょうあん)』」とも本質的に異なります。
■サピックス『新小6・3月度組分けテスト(令和四年/2022年)3月実施)』で扱(あつか)われた文章(『スマホを捨てたい子どもたち―野生に学ぶ「未知の時代」の生き方(山極寿一)』を例に「弁証法的解釈」をすると、以下のようになります。(筆者自身が『弁証法的思考法』により主張を展開しています)
【弁証法の形式と例文】
①【正】命題(出発点となる問題)
・「現代はAI(人工知能)が進化し、人間はAIへの依存(いそん)を強めている」
②【反】内包(ないほう)されていた矛盾の現出(⇒対立・葛藤(かっとう)へ)
・「AIへの依存が強まるとともに、人間が持つ本来の能力や五感の働きが生かされず、ますますAIに操作され、人間らしさが失われてゆく」
③【合】統合=【反】を受け入れて発展のための糧(かて)とし、高次の克服(こくふく)・解決を実現する。
・「機械化、情報化が進展する現代、AIに依存しすぎず、人間本来の能力や五感をもっと積極的に生かし、自分の頭を使って考え、判断し、また、主体的に行動することで、AIと共存(きょうそん)しつつ、真に人間らしくより良い生き方を獲得(かくとく)し、実践(じっせん)すべきだ」
◎文学的文章の場合でも、例えば、
①【正】『主人公の、周囲に流されるまま、自分を偽(いつわ)り、自分らしさを失った消極的な現在の生き方』において、
②【反】『今のままの自分であり続けてよいのか』という「矛盾(対立・葛藤)」がその内部から生じ、
何かのきっかけを経て、
③【合】『それまでの自分のあり方を否定(ひてい)せず、むしろそれをありのままに認め、受け入れて成長の糧(かて)とし、本当の自分らしさを求めて、自分に正直に、力強く前向きに生きてゆく』
といった「高次の克服・解決(より良い生き方の獲得(かくとく)=人間性の向上)」がもたらされる。
◎日常においても、私たちはさまざまな場面において無意識的に「弁証法的思考法」によって物事を考えたり、対処したりすることがあります。文章を書くとき、話し合いをするとき、図画や工作などの創作に取り組むとき、創造的な発想に挑(いど)むとき、人との関係について考えるとき、困難を克服しようというとき、自分のあり方や生き方に悩(なや)むとき、未来への道筋を思い描(えが)くときなどにおいても、意識的に「弁証法的思考法」を活用してゆきましょう。
⑫ のび太論法・ジャイアン論法
■ドラえもんがいつものび太を助けることについて、①賛成と、②反対双方(そうほう)の立場から、根拠を示したり、具体例を挙げたりしながら、それぞれについてあなたの意見を自由に述べてください。
■ジャイアンが「ジャイアンリサイタル」を開催(かいさい)すると、聴衆(ちょうしゅう)が体調を崩(くず)したり、飛んでいる鳥が気絶して落下したり、近くの家の窓が割れたりと、大惨事(だいさんじ)になります。その解決策を自由に考えて説明してみましょう。
⑬ その他(詭弁など)
(1)論点のすり替え
・論点とは、「議論の中心となる問題点」のこと。論点を意図的に変更することを「論点のすり替え」という。(論点違い/論点ずらし)
《例》
・花子さん:愛ちゃん、あんた、約束守ってねって、言ったでしょ!(正しい論点)
・愛子さん:ふんっ! 花ちゃんだって約束破ったことあるじゃん!(別の論点)
・花子さんは「愛子さんが約束を守らなかったこと」を論点として追及(ついきゅう)しているのですが、愛子さんはその論点をかわし、「過去に花子さんが約束を守らなかったこと」を新たな論点として都合よく変更してしまいました。
(2)だって論法
・相手の主張とは別の論点を持ち出して自分の言動を正当化したり、言い逃(のが)れをしたり、自分の責任を帳(ちょう)消しにしようとしたりする論法。(1)「論点のすり替え」の一種。
《例》
①お前だって論法(ブーメラン論法)
・ジョン:おい、カンニングするなよ!
・ポール:お前だって、今、俺の答え見てるし! (論点のすり替え/言い逃れ/相対化/相殺(そうさい))
②あいつだって論法
・警官:20キロの速度オーバーだ! むふん! 今日は残念だったね! (^O^)/」
・運転手:そんなぁ、ちょっと勘弁(かんべん)してよぉ……。あっ! ほら、見てよ! あいつだってすっごいスピード出してるじゃん! 早くあいつ捕(つか)まえてよっ! (論点のすり替え/言い逃れ/相対化)
③みんなだって論法
・ママ:いけません。ゲームなんか買ってあげません!
・子ども:ねえぇ、買ってよぉ。みんなだって持ってるんだからぁ!(正当化/論点のすり替え/相対化)
※「だって」に代えて、「~も/~でも/~の場合も」等が用いられることも多い。
※相殺(そうさい):差し引いて、帳(ちょう)消しにすること。
※相対化:「その事案が特殊なものではなく、取り立てて問題化する必要が無い」とすること。
(3)チェリーピッキング
・「今度のテストで敬語の問題が出るよ。翔平君もマツコさんも徹子さんも、同じこと言ってるもん。」のように、多くの情報の中から都合の良い情報だけを選び出し(切り取り・切り出し)、それを根拠(前提)として自分に有利な主張をする。「前提のすり替え」の一種。
※チェリー・ピッキング:おいしい「サクランボ(チェリー)」だけを「選び取って(ピッキング)」食べることから、「つまみ食い」の意。
(4)藁人形論法
・相手がそもそも言ってもいない論点を作り上げ、その「架空の論点(わら人形/ダミー)」に対して反論し、自説を有利に導く詭弁(きべん)。案山子(かかし)論法。架空(かくう)の論証。
《例》
・先生:勉強は大事なんだから、毎日しっかりと勉強するんだぞ!(前提:励(はげ)まし)
・生徒:「泣こうがわめこうが、引きずり回してでもお前を勉強漬(づ)けにしてやるわ、このボケッ!」だなんて、そんなひどいことを生徒に向かって平然と言う教師がどこにありますか!(話をねじ曲げて「スパルタ教育」に論点(前提)をすり替えて非難し、ついでに人格攻撃)
・先生:誰がそんなこと言ったかね、このスッタコが!
・生徒:……てへぺろっ (・ω<)!
(5)同語反復(トートロジー)
・『AはAである』の形式で、「雨が降る日は天気が悪い」、「馬から落馬した」、「善人は善(よ)い人だ」のように同語や類義語を無意味に繰り返すことを「同語反復」(同義反復・類語反復)という。トートロジー。
《例》
・「日本がこのままではいけないということは、日本はこのままではいけないということだ」
(6)循環論法
・循環論法では、同語反復であると同時に、『AだからAである』の形式で因果関係の型式をとる。結論と根拠とが単純に循環し、証明とならない。「消しゴム貸して。だって、消しゴム貸してほしいから」のように、日常においてもうっかりと循環論法によって言い訳をしたり反論したりすることがあるので注意しよう。
《例》
・「日本はこのままではいけない。だからこそ、日本はこのままではいけない」
(7) レッテル貼り
・「太郎は真面目(まじめ)だ。」、「花子はおしゃれだ」というように、人物や事物(じぶつ)について主観的に一般化し、評価を与えることを「レッテル貼(は)り」という。また、「俺って、天才!」、「私って、ダメ人間なの」のように、自分で自分にレッテル貼りをする場合もある。
◎「次郎は嘘(うそ)つきだ」、「愛子は意地悪だ」のように、良くない情報のみをもとに主観的に一般化し、一方的に悪い評価を与える場合には、皮肉を込めて相手を非難するにとどまらず、「対人攻撃」として「悪口」や「いじめ」、「差別的言動」に繋(つな)がる場合も少なくない。
(8)事実の主張へのすり替え
・例えば、「花子さんは女性だ」という内容が、意図的に「花子さんは女性らしくあるべきだ」のようにすり替えられる。「前提のすり替え」の一種。
(9)前後即因果
・「入試前日に必死に合格を祈(いの)ったら、本当に合格した。だから、合格したのは祈ったからに違いない。」のように、「『ある事柄(前件A)』が起きた後に、続いて『別のある事柄(後件B)』 が起きた」という連続的な事実を捉(とら)えて、「《前件A》が《後件B》の原因(理由)である」と無理やり因果づける。「論理的飛躍」の一種。
(10)曖昧語法(二重語法)
「十代の若者(または高齢者)に自動車を運転させるのは非常に危険だ」という主張は、「運転をする若者(または高齢者)自身が事故等の危険な目に遭(あ)いやすい」という意味と、「若者(または高齢者)の運転によって他者が危険にさらされる可能性が高い」という意味のいずれにも解釈ができ、曖昧である。
※曖昧(あいまい):意味内容が二通り、または二通り以上に解されること。意味内容をしっかりと捉(とら)えにくく、はっきりしないこと。
(11)道徳主義トラップ
・「Aは道徳的に善である(悪である)、だから、Aは▲が事実だ」という形式で、「道徳的な価値観を事実にすり替える」論法。「道徳」をはじめから「良いもの・正しいもの」と前提し、そのうえで、「だから、▲が事実だ」と、誤った結論を導く。(12)「自然主義トラップ」の逆パターン。「前提のすり替え」、「論理的飛躍」の一種。
《例》
・「カンニングは悪いに決まっているじゃないか(道徳的価値観)。だから、僕がカンニングなんてするはずない(事実にすり替え)」
(12)自然主義トラップ
・「Aは自然界の事実である。だから、Aは▲であるべきだ(価値判断)」という形式で、「自然界の事実を価値判断にすり替える」論法。「自然界の事実」をはじめから「良いもの・正しいもの」と前提し、「だから、自然に逆らわない行動が正しい」と、誤った結論(価値判断)を導く。(11)「道徳主義トラップ」の逆パターン。「前提のすり替え」、「論理的飛躍」の一種。
《例》
・「人間は本来、夜には眠る動物だ(自然界の事実)。だから、人間は深夜に勉強をすべきではない(価値判断にすり替え)」
(13)新規主義トラップ
・「『新しいものごと』は無条件に『良いもの・正しいもの』」であると前提し、「過去のものごと」を否定する。新しいものごとが常に正しいとは限らない。(14)「伝統主義トラップ」の逆パターン。「前提のすり替え」、「論理的飛躍」の一種。
《例》
・「この教材は改訂(かいてい)された(新しいものごと)。だから、内容も優(すぐ)れている(価値判断)」
・「ざんぎり頭を叩(たた)いてみれば、文明開化の音がする」
(14)伝統主義トラップ
・「『伝統や習慣・慣習』は無条件に『良いもの・正しいもの』である」と前提し、「現在のものごと」を否定する。昔のやり方が常に正しいとは限らず、また、昔のやり方が正しかったとしても、現在に通用するとは限らない。(13)「新規主義トラップ」の逆パターン。「前提のすり替え」、「論理的飛躍」の一種。
《例》
・「以前は誰もがテレビや新聞、ラジオなどから情報を得ていた(習慣)、だから、インターネットの利用はふさわしくない(価値判断)」
・「人類は数千年にわたり神を信じ続けてきた(伝統/慣習)。だから、神は存在する(事実)」
(15)逆は必ずしも真ならず
・「海には、魚がたくさんいる(Aならば、Bだ)」を逆立ちさせて、「魚がたくさんいるのなら、そこは海だ(Bならば、Aだ)」と言い換えても、同義とはならない。これを、「逆は必ずしも真ならず」という。
(16)裏返しは必ずしも真ならず
・「自分がされて嫌(いや)ことは、人にすべきでない(Aならば、Bである)」を裏返して、「自分がされて嫌でなければ、人にしても良い(Aでなければ、Bでない)」と言い換えても、同義とはならない。「論理的飛躍」の一種。
(17)疑似相関
・ある事柄(ことがら)(A)が変化するとともに別のある事柄(B)も同時に変化しているような場合に、本来は両者に因果関係はないのに、あたかもそこに因果関係があるように見えてしまう現象を「疑似相関(見せかけの相関)」という。「偽装因果」の一種。
《例》
・「コンビニが増加したから、犯罪件数が増えた」
・「(A)コンビニの店舗(てんぽ)数が増えた」ことと、「(B)犯罪件数が増えた」ことの二つが同時に起きていても、実際には(A)と(B)は「別の要因(C)=人口の増加」によって変化(増加)しているのであって、両者に相関関係があっても、そこに因果関係があるとみるのは誤りである。
(18)悪魔の証明
・晋三(しんぞう)君:悪魔(あくま)なんか存在するわけない!
・清美さん:じゃあ、悪魔が存在しないことを証明してみせなさいよ!
・晋三君:むぐぐっ……。
・清美さん:証明できないんだったら、悪魔は存在するってことじゃないの!
・晋三君:どうやって調べれば証明できるんですかっ!!!
・清美さん:疑惑(ぎわく)はさらに深まった!
・晋三君:ずるいよ! 悪魔の罠(わな)だ!
・「悪魔の証明」とは、証明することが困難な事柄(ことがら)に対して「存在しないこと」の証明を求める詭弁(きべん)。「あること=存在すること」を証明するには実際に事例を集めればよいが、「ないこと=存在しないこと」を証明する事例を集めるのは事実上、ほぼ不可能である。「前提のすり替え」の一種。
・清美さんは、議論以前に「悪魔は存在する」とまず結論づけ、この証明されてもいない「結論」を前提として、「もし悪魔の不在が証明されるなら、悪魔が存在しないと認めてもよい」と、もともと証明困難な選択肢をダミーとして敢(あ)えて提示し、譲歩(じょうほ)の余地を与えるふりをして相手を「二分法の罠(わな)」に掛け、人身攻撃と印象操作によって人格を貶(おとし)めつつ、相手の排除(はいじょ)、差別を謀(はか)っています。
(19)ダブルスタンダード(二重基準)
・「同じことをして兄は怒(おこ)られたのに、弟は何も咎(とが)められなかった」のように、同じ一つの事柄(ことがら)について、状況によって二つの異なる基準を使い分けること。
(20)比較不成立
・「このリンゴと、このミカンとでは、どちらが品質が良いか」、「ロックとクラシックとでは、どちらが優(すぐ)れているか」のように、そもそも本質や分類が異なるために比較することができない物事どうしを無理やり比較し、その「価値や良否」について述べる。「論点違い」、「前提のすり替え」の一種。
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